WABISABISM 10周年記念モデルのご紹介〈KIRIKO ARROW HAT〉

2025年11月でブランド設立から10周年を迎えるWABISABISM。
この節目を記念して制作した、アトリエ・イベント販売限定の特別な一帽が「KIRIKO ARROW HAT」です。

WABISABISM独立の原点となった〈ARROW HAT〉のクラウン型と、Sculpture seriesの頂点に位置する〈KIRIKO HAT〉のブリム型。
二つの象徴的な造形を融合させることで、ブランドの軌跡を一つの形に落とし込みました。

 

ARROW ― 精緻な造形の中に宿る意志

クラウンのツマミ部分は、矢尻をモチーフにした鋭いラインが特徴。
極限までシャープに削り出されたフォルムは、中折れ帽の醍醐味である「つまむ」動作そのものを美しく引き立てます。
鏡の前で自然と手が伸び、かぶる仕草が様になる。そんな一瞬の所作までを意識した設計です。

型物ハットの木型は、頭型とツバ型を別々で制作。そのため、様々な組み合わせが可能となる。

 

また、この独自のクラウン型は、日本人の顔立ちに似合うよう設計されています。
丸みのある輪郭をすっきりと見せ、横顔には垂直に立ち上がる背面のラインが洗練を添えます。
前方の曲線とのコントラストが、静かな緊張感を生み出す造形です。


KIRIKO ― 彫りの深さが生む陰影

KIRIKO HATは、水沼輝之が特許技術を用いて立体紋様を浮かび上がらせたシリーズ。
トップ、サイド、ブリムそれぞれに異なる文様を刻み、手仕事で木型を削り出すことで、造形で見せる美しさを引き出しています。

上下:通常版KIRIKO HAT。三面に文様が浮かび上がっている。

 

クラウンには縁起の良い七宝紋、ブリムには格子状に組まれた矢来紋、天井には華やかな菊花紋。
いずれも古くから日本の工芸を支えてきた幾何学模様であり、調和と連続を象徴する意匠です。

記念モデルKIRIKO ARROW HAT。ブリムには文様がくっきりと浮かび上がっている

 

この二つの造形が交わることで、まるで切子の器の上にアロー型が静かに置かれたような、独特の存在感を放ちます。


EDGE ― 技術の極みに宿る静かな迫力

素材にはラビットファー100%のフェルトを使用。
なかでも「ファープレーン」は毛足が短く、Sculpture seriesとの相性が良い素材です。
陰影が細やかに浮かび上がり、磨き上げることでマットな質感の中に上品な艶が宿ります。

そして今回、もっとも注目していただきたいのはブリムのエッジ部分です。
真横から見ると、ツバ先が内側へとグッと入り込んだ独特の「エッジアップ」仕様になっています。

もともとエッジアップは、かつてシルクハット(トップハット)やボーラーハット(ダービーハット)など、位の高い人々だけが身につけていた装飾。

その後、中折れ帽に組み合わせた「ホンブルグ」という形式が誕生しました。

KIRIKO ARROW HATはこのホンブルグに当てはまります。

馴染みのある中折れ帽に、高貴さの象徴であるエッジアップを融合させることで、特別感がありながらも日常に自然と溶け込む佇まいへと再構築しています。

本革で施す三つ折りベリの仕組み①②。

 

さらにツバ先のパイピングには、布製リボンではなく本革を使用。
布と異なり伸縮しない素材を、三つ折りベリで縫い合わせていくという極めて高度な技術が求められます。
一度裏表で縫製した後、折り返した革を一度目とまったく同じ針穴へと通していく。
わずか1ミリのズレも許されない精密な工程です。

本革で施す三つ折りベリの仕組み③④。

 

このKIRIKO ARROW HATが特別なのは、格式高く型入れの難しいエッジアップのブリムに、収縮しない本革のパイピング、そして三つ折りベリ仕上げという、通常では並び立たない三つの要素をすべて同時に成立させている点にあります。


それぞれが高い精度を要求される工程でありながら、一点ずつ確かな手仕事で仕立てることで初めて完成する、まさにWABISABISMの10年を象徴する一帽です。


ANNIVERSARY ― 積み重ねの先に生まれるかたち

ブリム全体に浮かび上がる切子文様の迫力に目を奪われがちですが、
その内側には、見えないほど繊細な技術と時間が重なっています。
ブランドの10年という節目にふさわしい、静謐な存在感を湛えた一帽です。

10周年記念商品KIRIKO ARROW HATは、オンラインでの販売は行わず、
アトリエご来店時および全国各地のEXHIBITION|POP UP SHOP限定での展開となります。

かぶっている時も、そうでない時も空間を彩る。
静かな迫力を纏うKIRIKO ARROW HATを、ぜひその目でご覧ください。

 

 



《2025-26 AW EXHIBITION|POP UP SHOP

・遠鉄百貨店

場所:遠鉄百貨店 2階スペース2
会期:2025年10月29日〜2025年11月4日
販売方法:現品販売、セミオーダー受注会

 

・阪急うめだ本店

場所:阪急うめだ本店 1階婦人雑貨売り場
会期:2025年11月19日〜2025年11月25日
販売方法:現品販売、セミオーダー受注会

 

・日本橋高島屋

場所:日本橋高島屋S.C. 
会期:2025年12月3日〜2025年12月16日
販売方法:現品販売、セミオーダー受注会

(その他イベント情報はトップのEVENT/NEWSよりご覧ください)

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