WABISABISMの帽子ができあがるまで
木型からすべてを手仕事で生み出す、唯一無二の型物ハット制作。
WABISABISMの帽子を手がけるのは、木型制作から帽子完成までを一人で完結できる職人・水沼輝之。
お客様からのオーダー品や、百貨店のPOP UPに並ぶ帽子も、すべてアトリエで一点一点仕立てています。
一つの帽子が生まれるまでには、いくつもの手仕事の積み重ねがあります。
デザインを考え、木型を削り、型入れや縫製、仕上げを経て、最後に丸箱へ収められるまで。
すべての工程に、職人の技術と感覚が息づいています。
ここでは、WABISABISMならではの帽子づくりの全体像をご紹介します。
1. 木型制作

本来、帽子業界では「帽子の木型を作る職人」と「その木型を使って帽子を作る職人」は分業するのが一般的。
木型職人は帽子を仕立てる技術は持たず、木型制作のみの専門職です。
そして帽子職人は既存の木型の範囲内で、オリジナルのデザインを考えます。
そのため誰も見たことのないような帽子を生み出すには、木型制作と帽子制作、二つの全く異なる技術を取得する必要があります。
両方の技術を持つ職人だからこそ、デザイン性とかぶり心地のどちらも叶える美しい帽子を作り続けることができるのです。
2.型入れ
何度も修正し、納得のいく木型が完成したら、次は木型に帽体を当てがい型入れをしていきます。
WABISABISMでは、型入れを一度で終わらせず、数回に分けて繰り返します。
その積み重ねによって、帽子のラインとエッジが研ぎ澄まされ、どの角度から見ても揺るぎないフォルムが生まれます。
こうして形づくられた帽子は、何年経っても型崩れしにくく、一生物の存在となります。
3.縫製

形が定まり木型から帽体を外したら、次は縫製に移ります。
WABISABISMでは帽子をより強度と精度の高いものに仕上げるため、求める縫い目に合わせてミシンパーツを自ら加工し、10種類以上のオリジナルパーツを使い分けています。
二層に重なる天然草を三つ折りベリにして割らずに叩く技術、スベリの重ね縫いで一周目と同じ穴に針を落とす精度など、細部を見ればその圧倒的な手間と技術力が一目で伝わります。
4.トリミング
最後の仕上げはトリミング。
一つひとつの帽子に手作業で飾りを縫い付けていきます。
飾りに使用している牛革リボンも、アトリエで一枚の革を裁断するところから作っています。
そのためカスタムの幅が広いことも、WABISABISMの帽子の魅力のひとつです。
リボンのカラー・幅の変更はもちろん、蝶々の形さえご要望に合わせてお作りすることが可能です。
5.箱詰め

帽子が完成したらいよいよ箱詰め。
WABISABISMでは最後にお渡しする丸箱にもこだわりがあります。
この帽子専用の丸箱は浅草橋の箱職人に特注している丸箱で、紙を貼る工程やエンブレムの箔押しも一箱ずつ手作業で行われています。
現在ではほとんどの帽子ブランドで省スペース・省コストが優先され角箱に入れることが一般的になりましたが、本来型物ハットというのはこのような丸箱に入れるものでした。
今は貴重な存在になりつつある箱職人を応援したいという気持ち。
そして、一昔前に丸箱を手にしただけで特別な帽子を買ったと感じられたあの喜びを、これからもつないでいきたいと考えています。